カテゴリー別アーカイブ: エロ漫画の歴史
エロ漫画の歴史 10.わいせつ性と表現の自由に関わる問題
エロ漫画の歴史は規制との戦いでした。かの「松文館裁判」をはじめとして、エロ漫画のわいせつ性と表現の自由に関わる問題については、現在に至るまで論争が続いています。成人向け二次元の創作物を規制しようという動きは、一定のサイクルで政治マターとなり、その都度、賛否両論を巻き起こしています。出版業界全体を巻き込んだ論争に発展する例も珍しくなく、憲法に定められた表現の自由に関わる問題でもあるため、ついには法曹界にまで議論が波及する、というパターンを議論の度に踏襲しています。 最終的にこの問題がどのような決着を見せるか、規制強化の流れに傾くのか、あるいは緩和されるのか、現時点では予断を許しません。ただ確実なのは、これまでの歴史を見る限りにおいて、こうしたデリケートな問題は、ことごとく「時代に応じたモラル」が最終的なよりどころとなっています。一部のエロアニメやエロ漫画が過激さを増している、という指摘は正しいと思いますが、かといって日本のモラルが低下している、と統計的なデータが示しているわけではありません。反対に、そうしたわいせつなエロ漫画やエロアニメが青少年のモラルを低下させる、というデータも現在のところ皆無です。 むしろ、性的な文化がオープンな国ほど性犯罪率は低い、といわれていますから、あるいは予防策として「有用」ですらあるのかもしれません。いずれにしても、二次元作品が今や国を代表する文化にまで発展したいま、エロ漫画やエロアニメがより論争の対象として注目を集めることは間違いないでしょう。
エロ漫画の歴史 9.境が曖昧になってきた漫画とアニメ・同人
エロ漫画の歴史はエロアニメの発展と深い関係を持っているように思えます。過去には、エロ漫画がアニメのキャラクター造詣を倣った時代がありました。では、現在はどうかといえば、エロアニメとエロ漫画の作風に、ほとんど差異は見受けられません。漫画は限りなくアニメに接近していますし、逆もまた然りという状況です。 同人活動においては、さらにこの傾向が顕著です。元ネタがアニメを模倣することはもちろん、同人作品はアニメーションの技術を取り入れた「同人ソフト」も多く、デジタル化によってよりアニメに近い表現方法を実現しています。エロ漫画をとりまく世の中の状況としては、近年、二次元ポルノグラフィ全般に対する世間の偏見が緩和されたこともあって、人気漫画家が同人活動を公言する例も珍しくないようです。同人誌、漫画、アニメがいわば渾然一体となって、それぞれの発展を促すという流れは、今後もますます加速していくことでしょう。 漫画が今後さらにエポックメイキングな飛躍を遂げるとすれば、おそらく電子書籍の普及に伴う変容が予測されます。現状でも音声・音楽付きの漫画は存在しますが、まだ過渡期の段階で、読者もそれほど多くはありません。もし、電子化された漫画が一般に浸透し、より市場が拡大していけば、おそらく出版社は膨大なリソースを電子書籍(漫画)に投じることでしょう。その段階でエロ漫画がどのような進化を遂げているのか…非常に興味深い話ですね。
エロ漫画の歴史 8.作風の多様化
エロ漫画の歴史は、その始まりを1970年代にまで遡ることができます。1960年ごろまでは、あくまで成人向け雑誌の「おまけ」的な存在であり、メイン記事の間に短編が挿入される程度でした。エロ漫画そのものが作品としてオリジナリティを発揮するようになると、すぐに専門雑誌が刊行され、一部に熱狂的な支持を集めました。ただ、当時の作品は劇画風のものが大半であり、現在のエロ漫画とは似ても似つかない作風だったようです。 しかし、時代の経過とともに作風はアニメへと近づき、80年代に入るとシンプルなキャラクター造詣と相まって「ロリコンもの」が台頭し始めます。ただ、この時点では劇画風エロ漫画とロリコンものは明確に別ジャンルとして扱われており、購買層も全く異なっていたようです。一方では、1980年代より女性向けのエロ漫画、いわゆる「やおい」も登場し、作品のフォーマットは少女漫画を踏襲しながらも、詳細な性描写を描く作品が急増していきます。 90年代に入ると、描かれる内容(性的な嗜好)が急速に多様化し、その流れは現在に至るまで加速し続けています。とりわけ、全国的に普及した同人ブームが成人向け漫画に寄与したところは大きく、いまなお二次元作品の分野においては圧倒的な影響力を有しています。 現在では、女性向け作品、男性向け作品の境界すら曖昧になっており、今後も更なるジャンルの細分化が予測されます。ただ、二次元作品に関する国内の変容はひと段落ついた感もあるので、今後は主に諸外国において新たなムーヴメントを目撃することになるかもしれません。
エロ漫画の歴史 7.ネットの有用性
エロ漫画の歴史を調べるためにはどのような方法が有効なのでしょうか。歴史というと、少し前までは図書館の独壇場だったイメージがあります。しかし、エロ漫画という媒体はその性質上、書籍でありながら図書館で歴史を紐解くことが不可能です。エロ漫画に限らず、アダルト作品は人目をはばかる存在であるため、歴史が黙殺される例が多いようです。通俗的にはこれほど普及している文化でありながら、記録を辿ることができない、特にアダルト作品のコレクターは、そのことに強いフラストレーションを感じているようです。 しかし、幸いなことに二次元作品はネットの世界と親和性が高く、ネット上でその歴史をかなり正確に辿ることが可能です。通販サイトをめぐるだけでも、年代順に商品を見ていけば画風の変化などを詳細に観察することができますし、その時代を代表する漫画家の作品を全て把握することもそれほど難しくありません。一番古いアダルト向けの漫画が登場したのは1970年代だといわれていますから、さすがにその発端をネット上で目にすることは困難ですが、ここ10年から20年までの作品であれば、ほぼ全てネット上で一望に収めることができるでしょう。 エロアニメやエロゲーム、さらにはエロフラッシュにおいても状況は同じであり、裏を返せばネット以外にそれらの歴史を記述するものはない、ということができるかもしれません。時代の趨勢を貴賎の区別なく記録するという意味において、ネットの有用性をあらためて痛感させられます。
エロ漫画の歴史 6.ビデオの模倣から独自の文化の確立へ
エロ漫画の歴史を過去から現在に至るまで眺めてみると、映像作品からの分化の流れを見て取ることができます。エロ漫画が世に出始めた当初は、それはあくまでアダルトビデオの模倣品に過ぎませんでした。シチュエーションから台詞回しに至るまで、そのほとんどが映像作品に則った構成になっています。画風に関してもリアル志向を色濃く伺うことができますし、今では考えられないほどに劇画タッチの作品が勢力を持っていました。 翻って現在の状況を見ると、エロ漫画はアダルトビデオと成り立ちが大きく異なっています。少し大げさに言えば、エロ漫画独自の文化を確立した、といってもいいかもしれません。むしろ、今では二次元作品がアダルトビデオに及ぼす影響の方が注目されることも多く、いわゆるコスプレものや着ぐるみものなど、明らかにオタク層にターゲットを絞った映像作品も散見されます。 最近のエロ漫画は、さらに多様化が加速されているようで、はっきり言って「読者層が分からない」ような、非常にコアな作品も登場しています。エロアニメやエロ漫画に共通して見られる「触手もの」や「クリーチャーもの」はまだしも、ジャンル分けすらも困難なマニアック極まりない作品が次々に登場しているようです。あらゆるジャンルの創作物において、多様化は即ちクオリティの向上を伴っているといわれていますから、こうしたマニアックな作品群こそが、エロ漫画の人気を裏付けているのかもしれません。
エロ漫画の歴史 5.類型とカテゴライズ
エロ漫画の歴史は類型とカテゴライズの歴史だといわれています。即ち、ステレオタイプのキャラが次々に量産され、ある種のカテゴリーの中で読者の趣味嗜好に応じた振る舞いを見せることが繰り返されてきたわけです。例えば、エロ漫画において「眼鏡キャラ」というキャラが確立されると、彼女はほとんどの場合、控えめで上品で、性行為に及んでも恥じらいを見せる、というのが通例になっています。さらに属性としては天然キャラ、お嬢様育ち、学生の場合は文化部に所属している、秀才である、などの性質が付与され、漫画やアニメの中でどんどん類型化が進んでいくわけです。 エロ漫画においては特にこの傾向が顕著で、あらかじめ特定のキャラに萌える読者をターゲットにして、キャラクターの造詣が行なわれます。物語よりもキャラありき、というこの風潮はエロ漫画にとどまらず、最近では一般向けのアニメなどでも流行しているようです。 もちろん、類型化されたキャラクターにはカウンターカルチャーも存在します。眼鏡キャラなのに強引、積極性に富み、性行為に及んでも男性をリードする、というまるで正反対の描かれ方をするキャラクターも少なくありません。ただ、これはあくまでも従来のキャラクター属性の「真逆」をいこうとしているわけですから、類型化された人物造詣であるという点において、両者に違いはないわけです。エロ漫画が率先して新しいキャラを創作する、ということは稀で、一般作品で人気のキャラを模倣する、という例が多いようです。
エロ漫画の歴史 4.日本独自の漫画の発展
エロ漫画の歴史を遡っていくと、江戸時代の春画にたどり着きます。しかし、浮世絵の一種として世間に流布した春画は、どのような需要があったのか明確には分かっておらず、いま尚研究の対象として多くの謎を残しています。春画の性質が定かに分からないだけにエロ漫画と両者を比較することは難しいのですが、いずれも高度に抽象化された構図は共通しています。西洋の絵画がリアリズムを追求していったのに対して、江戸時代に至るまで、日本の大衆の間では専らシンプルな線画による作品が流通していました。海外でもゴッホなどの巨匠が浮世絵に影響を受けたことはよく知られています。 海外のアメコミなどを見ると、やはりリアルな人物描写に終始している感がありますから、浮世絵から漫画に至るまで、日本特有の技法、描写が連綿と受け継がれていることに間違いはないようです。もちろん、海外にもシンプルな線画で描かれたアニメ、漫画がないわけではありません。しかし、それらはあくまで「子供向け」にカスタマイズされた結果としてのシンプルさであって、大人向けの需要はほとんど皆無といえます。 日本のアニメが「ジャパニメーション」として明確に区別されていることからも分かるように、エロ漫画一つとっても日本と海外作品の間には大きな差異を見出すことができます。とりわけ、エロ漫画における描写に関しては、日本特有のカテゴリーが顕著な発達を遂げています。少女漫画の発展系ともいわれる「やおい」や、女装キャラを描く「男の娘」はその好例といえるでしょう。
エロ漫画の歴史 3.大きな利益をもたらす漫画の強み
エロ漫画の歴史を初期から知る人間にとって、現在の状況はまさに隔世の感があるようです。エロ漫画が世に出回り始めたころは、それはもうひどい状況だったそうです。漫画家の中でも最下層の人々が、いわば片手間に描いているような作品がほとんどで、画力もストーリーもオリジナリティも、何も求めることができなかった、そんな時代がありました。かといって当時は需要もほとんどなかったので、優秀なクリエイターが育つこともなく、エロ漫画はあくまで余剰の産物として、ごく一部のオタクたちに読まれているのみでした。 一方、現在では画力の突出したエロ漫画家も少なくありませんし、エロ漫画雑誌もあれば、エロ漫画を専門に描く漫画家も増えています。出版業界が不況にあえぐ中でも、「萌え」の系統に属する作品やアダルト向け漫画、同人誌、デジタルコミックなどは好調な売り上げを維持していますし、そこから派生するキャラクター商品、原作のライトノベル、アニメ作品なども大きな利益を上げています。 漫画の「商品」としての強みはまさにここにあって、関連商品の売り上げが大きな利益をもたらすという、安定したビジネスモデルの確立が、アダルト向け二次元作品の発展に大きく寄与したことは間違いありません。小説がアニメ化され、アニメがゲーム化され、あるいは逆にゲームがアニメ化され、キャラクターはフィギュアとなり、それぞれの媒体がそれぞれに発展を促し、相互に商品化され、関係性の中で市場規模を拡大するという、懐の深いマーケティングが成り立っていること。これは従来から指摘されるとおり、企業が低コストで利益を回収するうえでは理想的な形といえます。
エロ漫画の歴史 2.日本国民と漫画との親和性
エロ漫画の歴史を俯瞰して眺めた時、そこには間違いなく「普及」の二文字を当てはめることができます。何故これほどまでに日本でエロ漫画が普及したのかといえば、そこにはやはり日本国民と漫画という媒体の親和性の高さを見て取ることができるでしょう。大人も子どもも漫画を読むという国は世界的に見ても特異な存在であり、ましてや国民的アニメ(漫画)がこれほど多く存在する国というのは他に例がありません。 諸外国ではアニメや漫画のヒーローが「通過儀礼」として読者の成長とともに忘れ去れるのに対し、日本の読者はファンであり続けることが珍しくありません。このことからも分かるように、日本においてはアニメや漫画の社会的な認知度、ステータスが非常に高く、他の文化に勝るとも劣らない市民権を獲得しているのです。 日本でこれほどまでにエロ漫画が普及した背景には、もう一つ規制の問題が挙げられます。諸外国ではポルノグラフィに対する規制が厳しく、原則として未成年者の立ち入る店では、アダルト作品を目にすることが出来ない、という環境が一般的です。翻って日本では、一般の書店でもエロ漫画を普通に目にすることができますし、未成年者に対しても身分証の提示を求めるような規制がなされているわけではありません。昨今、東京都が一部の二次元作品に対して規制を強化する条例を可決しましたが、欧米では同様の(もしくはそれ以上に厳しい)規制が国単位で行なわれているのです。
エロ漫画の歴史 1.ネットの普及につれて
エロ漫画の歴史はネットの普及と密接な関係があるといわれています。事実、ネットが普及するまでエロ漫画は、アンダーグラウンドでごく一部のオタクたちによってのみ消費されている存在であり、世間的な認知度はほとんど皆無と言っていい状況が続いていました。しかし、ネットが普及するにつれて、にわかにエロ漫画を愛好する人々が増え、今ではアダルト向けの媒体として一大ジャンルを確立するまでになりました。コンビニなどでもエロ漫画雑誌が普通に売られていますし、昨今では携帯向けのサービスでもエロ漫画を提供する出版社が出てきました。 さらに、日本特有の同人活動の文化が、アダルト系漫画の人気を後押しする形で、世界的な規模で認知されるまでになっているといわれています。かつては漫画の中でも粗雑な扱いを受けていたエロ漫画も、今では「萌え」という形式に洗練され、一般向けの漫画、アニメの方から歩み寄りを見せています。人気アニメなどの中にもエロアニメのフォーマットを上手く利用した作品が多く、その性描写はあくまで「お色気」や「セクシー」の域にとどまるものの、同じ系譜に属する作品であることは、オタクの目から見て一目瞭然だといわれています。 今後はますます、アダルト作品と一般向け作品の境界が曖昧になるともいわれており、アダルト作品の社会的ステータスはさらに向上する可能性を秘めています。経済界では、アニメや漫画を日本の一大産業として売り出そうという動きが盛んですが、そこには必ずアダルト作品がパッケージとして含まれることになるでしょう。